2010年5月15日、平成22年度生物系三学会中国四国支部合同大会(山口大学)にてポスター発表を行いました。
タイトルは「スゲ属ホンモンジスゲ類4分類群の系統地理学的研究」で、発表番号が偶数だったので発表は14~15時でした。
奇数番号の時間に、カヤツリグサ科関連の発表を探しに行ったところ、生態学会の方に島根大学・汽水域研究センターの荒木 悟先生のポスターがありました。島根の汽水域と言えば、「オオクグ」です。もしかして何か?の期待を胸に荒木先生を訪ねてみました。
すると、なんと以前、支部大会でオオクグに関する口頭発表をされていたことが判明。しかも、その発表の後、突撃取材させていただいた先生でした。あのときは相当驚かれたことと思います。おかげでオオクグの群生地を訪ねることができたのです。
→すげの会ニュース 1号 (2004年 3月)
1.オオクグの生殖生態について-日本生態学会中国四国支部大会(米子)から-
荒木先生によると、大橋川のオオクグは相当ヨシが侵入しており、オオクグの生育地が狭まっているそうです。さらに、不運なことに川の拡張工事計画があるらしく、オオクグ生育地がなくなる恐れあり。と思いきや、移植計画も持ち上がっているとのこと。
そこへ、岡山理大の波田先生がいらして、ヨシの恐ろしさを伺いました。
ヨシの匐枝の先はかなり尖っており、土が硬くてもすぐにつきやぶってしまうそうです。
以前、波田先生がある地点をボーリングしたところ、地下3mのあたりでヨシの根が絡まってきたそうです。つまり、ヨシは一旦地中に深く潜ってまたはい上がってくることができるため、上だけ刈りとっても地中から出てくるということになります。
そのため、オオクグを移植するときは土中数m以下に細石などを敷き詰めてから移植する必要があるのでは?と提案されました。荒木先生は、大橋川オオクグ群生地の地中には大量の貝殻があり、それがヨシの侵入を防いでいる可能性を教えて下さいました。
どちらにせよ、オオクグ生育地が狭まっていることは確かで心配になりました。