雑誌に掲載されている論文には、ある一定の流れ(書き方)が決まっている。
「要旨・緒言・材料と方法・結果・考察・謝辞・参考文献」これは知ってる。
そうでなくて、そのテーマを語るなら、これだけは書いておかなければならないこと。
新種を発表するとき、染色体数を調べたとき、ある節の系統進化を述べるとき、などなど。
テーマごとの「これだけは」を集めることができないだろうか?
そうすれば、どのようなデータをどうやって集めると効率が良くなるかがわかり、それまでできなかったその先のことも思いつく時間が増える気がする。
Two New Species of Carex (Cyperaceae) from the Ogasawara (Bonin) Islands, Japan
Teruo Katsuyama 勝山輝男
植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 83(6): 331-338 (2008).
<テーマ:新種記載>
・要旨
1.分布域限定種
2.種を分けるに至った形質の違い
1)植物体の大きさ
2)果胞の特徴:毛、脈、大きさ
3)痩果:花柱基部
4)雌鱗片
・緒言
1.小笠原諸島の概要
2.これまで報告されている種
3.新種記載する種が分類学的にこれまでどのように扱われていたか:過去の文献
・記載文
1.学名, sp. nov.
2.ラテン語の記載
3.Type標本の情報:採集地、採集日、採集者、標本番号、収蔵先
4.英語の記載文
1)多年生
2)根茎
3)有花茎
4)葉:blade, basal sheath
5)花期
Fig. 1:ホロタイプの標本全体写真
6)花序
7)小穂の集まり具合:上部に集まる
8)小穂:雌雄性
9)密花or疎花
10)雌鱗片
11)果胞、痩果
12)花柱
13)柱頭:数、長さ
14)染色体数
15)和名
16)生育環境
17)確認した標本リスト:s.n.=採集者番号なし、ibid.=既出の文献に出ている標本=idem.(Id.)
・近縁種との違い1:節内での位置
Fig. 2:小穂、果胞の拡大
・これまでの研究者の取り扱いと自分の見解
・近縁種との違い2:種間の違い
Table. 1:近縁種との違い:形質比較表
・比較に用いた種についての紹介
節の説明、取り扱れ方
・謝辞
調査同行・問い合わせ、標本庫出入
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この論文で新しいこと:
1.記載文:有花茎にcentral(中央生)かlateral(側生)の形質が加わっている
→ミヤマカンスゲ(カヤツリグサ科)の有花茎の着く位置
織田二郎・永益英敏
Bunrui 分類 7(2): 121-130 (2007).
2.記載文:詳しい生育環境がある
→具体的な種名、土質、標高