2011年7月25日月曜日

IBC2011 in オーストラリア 2日目の巻:講演を聴く

7月25日(月)、大会2日目です。
日本時間+1時間がオーストラリア現地時間です。
天気はくもり、午後少し雨が降って帰りは寒うございました。
寒いと言っても”凍てつく寒さ”ではなく、ほどほど寒いくらいで手袋はいらない感じ。

今朝の会場の様子。














歩行者と自転車が明確に別れている。
そのためか自転車が猛スピードで走っている。
きちんとヘルメット着用でした。









朝8:30から始まったのは、「Plenary Lecture」。
8:30-10:00までお二人の方が基調講演をなさいました。

Else Friis博士:被子植物の起源をさぐる上での”やっかいな問題”の解決について
内容:植物化石(おしべ、花、花粉など)のSEM写真とSXRTM写真を用いて植物の進化について述べた講演。
説明:まず化石の種名を調べ、系統樹の位置を示し、花式図による分類を説明。
スライド:「花粉や化石の写真→イラスト表示→原生植物との比較→系統樹の表示」という流れ。
結論:被子植物と裸子植物、単子葉植物と双子葉植物に分かれた時代を示す。

9:15から、David Fischhoff博士による「資源植物作出を担う技術革新について」
途中の”DNA解析→PCR→シーケンスなど”の作業に人が直接関わっていない(人が部屋の外)様子に驚きました。

内容:資源植物を作出するためにはDNAを使った実験が必須!その実験の技術革新の進度が新しい作物を作出するスピードと密接に関わっている。耐乾燥、耐虫など問題は盛りだくさんだが、耐虫の対象種を増やしたりできることで、栽培可能になった地域が増えている。
試験農場:南アフリカ(ウガンダ、ケニア、タンザニア)*ケニアが一番多い


ここで10時。30分間のモーニングティーの時間です。
昨日のパーティーで懲りてますので、早々に現地へ向かう!

コーヒー(その他、紅茶、ハーブティー、水)は無事ゲット。
季節の果物(今日はリンゴ)、手作りクッキー(4種)も奇跡的に残っていました!








ポスター会場

今回のポスター発表は「ePoster」と「これまで通りの紙」から選べるようになっていました。

「ePoster」は大きな画面の前で発表するとのことでしたが、現場に行ってみるとその大画面も少なく、いなくても大丈夫な様子・・・?

現段階でどれが一番よい方法か未確定です。







モーニングティーが終わったら、2手(種分化と食の安全)に分かれて「Key Symposia」が行われました。

さて、「会場に移動するべし」とトイレ前でnishimoto先生を待っていると・・・
突然、かなりの至近距離で人の気配が・・・!?
Waterway先生の登場だ~!!
「Nice meet you!」 当然英語だよ~。
返す言葉も少なめに抱き合う二人。「Oh~」
「会いたかったよ!」「私も、私もです!!」
「もう始まるね。次は会場どこかな。聞いてみようか。」
「隣でございます」ふむふむ。
「先生、今、サバティカルですよね。」
「そうそう、メルボルンが第1番目の国よ。」
「次はどこへ行くのですか?」
「ニューカレドニアだよ」 へ~

説明しよう。
サバティカルとは、Watawerway先生の大学で行われているもので、6年連続して勤務したら次の1年間は自由時間という何ともうらやましい制度です。Waterway先生はご夫婦で同じ大学に勤務されているので、お二人ともこのIBC(こちらも6年に1度)にあわせて自由時間を取得されます。海外に行っても良いし、研究に専念するも良し、調査にでかけても良し、のすてきな制度です。Hoshino先生がいつもうらやましがってます。今回も。

さて、次の講演”Keynote Simposia"が始まりました。

(種分化の方に参加しました)

最初の発表は若い学生さんとおぼしき方。
発表の後、たまたまお話しできる機会を得たのですが、「いやあ、あれは先生にだいぶ手伝ってもらったのです」と謙虚な方でした。

Loren Riesebergさんによる「植物の種の境界について」
内容:種分化の定義を遺伝子レベルから考える
ポイント:種分化は遺伝子だけでなく、それぞれの生育環境に適応する必要もある
材料:ヒマワリ
・遺伝子浮動をともなう種分化のもっともらしい説明とは
・遺伝子浮動は種分化にどれだけ関わっているか
・染色体への影響

次は、Daniel Ortiz-Barrientosさんの「自然選択と種分化について」
材料:Senecio pinatifolius類:種により形態と生育地が異なる
・種分化したという証拠を満たしているか
・系統樹による位置:位置が離れている種はecotypeが異なる
・土質、種子の形、生育環境との関連
・雑種を作り、戻し交雑してそれらを異なる生育地の土で育ててみる
→ecotypeに関わらず、種子発芽した
→この類では、形態の変異は幅広いが、種子形成と発芽条件はほぼ同じであった
→生育環境に適応しているだけで、本質は同じだった

続いて、Leonie . Moyleさんによる「Solanium属の分化の起源について」
進化は「適応」と「分離」の2つの道筋を通る。これを遺伝子情報か進化の機構を探った。
材料の説明:分布と生育環境、形態(変異幅)、遺伝子
実験:雑種作出、戻し交雑
結果:属内で雑種にあたる分類群とF2世代にあたる分類群があった
さらに、生育環境の解析により標高が同じでも降水量が異なる2種に関して雑種を作出し、染色体を観察。


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次のIBC2017は「中国」に決定しているようです!