2010年11月13-14日、岡山理科大学自然植物園主宰で「きのこ観察会」が開催されました。
私は次の日(14日)に「ハングル」検定試験があったので、13日のみの参加となりました。
その13日におこなわれたのは、「きのこの見分け方(初歩の初歩)」です。
井口 潔先生の軽快な語り口ではじまった講座は3時間あったのですが、まったく飽きることがなく最後まで楽しませていただきました。その飽きさせない理由を探ってみました。
1.専門用語は「業界用語」
ついついよく知っているからと専門用語を連発してしまいがちです。ところが、井口先生は専門用語を「業界用語」、きのこの表面が粉状であることを「大福餅のような」、和名なしを「名前募集中」などと分かりやすく言い換えられていました。普段の生活に密着している言葉を使われれば、より身近に感じられます。
2.大切なことは何度も
みのさんもCMで言っていましたが「大切なことは2度以上言います」。先生も大事なことは繰り返しておられました。今回は特に「ルーペ」の大切さが印象に残りました。スゲもルーペは必需品ですが、海外からお越しの研究者の皆さんをお迎えするときに首にかけた「ルーペ」が目印となるというエピソードを交えられたことでより深く記憶に残りました。
3.専門用語の説明は1画像2行まで
専門用語の説明は微に入り際に入り、細かいことまで言いたくなります。先生は一番重要な状況だけを大きく画像として出し、画像で強い印象を与えます。それから、その下に短い説明文がありました。
4.長い説明のあとは1言でまとめ
研究の現状や形質の説明が少し長くなると、必ず最後にまとめをされました。そのまとめが一言でものすごく簡潔に言われるので、「あぁ、そういうことね」とすんなり納得でした。
5.参加者参加型
最後にきのこ観察に必須である木の名前を1人1種ずつ挙げていきました。20人ほどでしたが、大変スリルがあり、なぜなら前の方が言われた木はもう言えないため、参加者必死。200-300種を覚えておけば、とりあえず大丈夫とのことでした。参加者が挙げた種名から、特にきのこ観察に必要な種を選別し、その近縁種を書き加えられました。参加者にとっては声を出すドキドキと自分が言った木がはたしてきのこと関係があるのかというダブルドキドキで大変印象に残りました。なんらかの形で参加者を巻き込む良い例だと思いました。
以上5点はこれまでもどこかで言われていることだと思うのですが、あらためてその重要性を感じた次第です。
また、スゲとの共通点はなかなか世間一般に浸透しないことです。
そのため、専門用語の統一、この人はこれが専門という専門分野の周知、文献・標本・記載データの一括管理など、スゲ分野にも必要なことが共通していました。
最後に強調されたことは「きのこに熱心な人には協力を惜しみません!」です。
特に熱心な方は全国に150名おられ、活発に活動されているのだそうです。
先生の熱意が伝わっているものと思われました。
井口先生のホームページ
→「きのこラボ」で検索すると出てきます。